みなとまち新潟の歴史を今に伝える「北前船の時代館 旧小澤家住宅」

新潟市中央区上大川前通にある「北前船の時代館 旧小澤家住宅」は、廻船事業などで栄えた商家・小澤家の店舗兼住宅です。2002年に新潟市に寄贈され、修繕を重ねたのち、2011年に資料館としてオープンしました。1,600平方メートルの敷地内には、家屋、土蔵のほか、広大な庭園が広がっています。新潟の歴史を学べるだけでなく、新潟の町家の風情を楽しめるスポットでもあります。

第13代にいがた観光親善大使の矢部さんと一緒に、館内を実際に回ってみたいと思います!

館内に入る前に見ていただきたいのが、板塀。上大川前通に沿って続く東塀からは、見越しの松が顔を覗かせています。みなとまちの風情を感じさせる人気のスポットとして人気です。

旧小澤家住宅は、上大川前通と思案小路に沿ってL字のかたちになっています。大通り(上大川前通)に面した部分を店舗として使い、その奥に仏間や座敷、家族の生活空間が順に配置されるという間取りは、当時の新潟町家によくみられたつくりでした。

明治期の上大川前通は、新潟町で活躍する商人が集う商業の中心地のひとつ。そこに店と自宅を構えることは、一種のステータスでもありました。

敷地の南側の思案小路に沿って主屋と道具蔵が並んでいます。主屋から道具蔵へと続く通り土間は、新潟町家の雰囲気たっぷり。旧小澤家住宅の見どころのひとつです。

座敷では、小澤家が手がけた廻船事業のことはもちろん、北前船交易の港として栄えた新潟町のあゆみなどを紹介。

店舗空間から、徐々に生活の空間になっていきます。続く茶の間は、接客や家族団らんの場として使われていました。茶の間から見える庭は、採光や空気の取り入れのための坪庭の名残です。

茶の間、次ノ間の奥には、当時の道具箱なども展示されていたり、「つし2階」と呼ばれる使用人部屋や、家族や使用人が出入りする通用口などもあり、商家ならではの家のつくりを垣間見ることができます。
※「つし2階」内部は非公開。1階からの観覧のみ。

続いて、台所の奥にある土蔵へ。もともとは生活道具や商売道具を収納する道具蔵として使われていましたが、現在は企画展等の展示スペースとして活用されています。

この日開催されていたのは、「カルタと双六」展。工夫をこらした様々な企画展が開催されており、近隣住民の方もよく訪れるそう。

道具蔵を越え、庭園へ。明治40年代の作庭とされる、とても歴史のある庭園です。庭園入り口からすぐに見えるクロマツを中心に、伝統的な手法に従ってつくられた和風庭園がひろがります。

庭園内には、芝生が敷かれています。日本庭園としては珍しいつくりですが、これは庭園内を生活の場、社交の場として使う目的があったからとされ、当時としてはとてもモダンな庭だったといいます。また、芝生を海、築山を「山」や「島」に見立てており、庭全体で日本三景の松島をイメージしているとも伝えられています。

もうひとつの見どころは、各地から集められた銘石の数々です。庭園内には、佐渡赤玉石、紀州石など、珍しい色や形をした石がそこかしこに。

丸くて可愛らしい飛び石がありました。こちらは、なんと佐渡金山で使われていたといわれる石臼(いしうす)なんだそう。このような石がたくさんあるのも、廻船業を営んでいた豪商ならではの面白い理由がありますが、訪れた際は、ぜひ学芸員さんに質問してみてください。

庭園は、館内から見渡すことも。主屋の北側に位置する新座敷から見ると、松、芝生、灯籠や石の美しい配置を楽しむことができます。5月になると、廊下からすぐ側にみえる藤棚が見頃に。

新座敷は、もともと外からの大事なお客様をおもてなしするために増築された建物とあって、いつ来ても、どこをとっても綺麗な庭園の姿を楽しむことができます。新座敷の奥にある和室「百合の間」は、庭園を見渡すことができるので、館内見学の最後に、ゆったりと眺めてみるのもおすすめですよ。

館内入り口には、旧小澤家オリジナルグッズも!Tシャツのほか、北前船をモチーフにした焼物(箸置き)など、ユニークな商品もたくさん。旅の記念にいかがでしょうか。


INFORMATION

北前船の時代館 旧小澤家住宅

所在地 : 新潟市中央区上大川前通12番町2733番地
アクセス : 【車】「新潟駅」より約15分 / 【バス】「新潟駅」より新潟市観光循環バス「旧小澤家住宅入口」停下車、徒歩1分、【C6】八千代橋線 「東堀通12番町」下車、徒歩3分
駐車場 : あり(新潟市歴史博物館 みなとぴあ駐車場も、無料で利用可能)
電話 : 025-222-0300
営業時間 : 9時30分~17時
休館日 : 月曜日(休日の場合は翌日)、休日の翌日(土・日の場合は火曜日)、年末年始(12月28日から翌年1月3日まで)
HP : https://www.nchm.jp/ozawake/

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