明治38年創業。歴史ある味噌蔵「峰村醸造」で楽しむ味噌と発酵文化
新潟市中央区沼垂(ぬったり)地区にある峰村醸造は、1905(明治38)年創業の歴史ある味噌蔵です。かつての沼垂地区は、数10軒もの醸造蔵が軒を並べる「醸造のまち」として賑わいを見せていました。年々、醸造所の数が減少するなか、ふたたび沼垂を醸造のまちとして蘇らせようと、情熱をもった味噌づくりを行っています。
味噌づくりで培った技術と経験を用いて、さまざまな発酵食品も開発。明治時代から続く味噌づくりを守りつつ、新しい時代に合わせた意欲的な試みも行っています。今回は、第13代にいがた観光親善大使の村山さんと一緒に、峰村醸造の魅力に迫ります。
江戸後期から明治初期に建てられた土蔵と、大正時代に建てられた二階に御座敷のある土蔵、ふたつの歴史的建造物を曳家(ひきや)と呼ばれる技法でリノベーション。2014年に「発酵コンセプトショップ」として峰村醸造直売店がオープンしました。
店内に一歩足を踏み入れると、びっしり並んだ発酵食品が出迎えてくれます!
こちらが、看板商品である「越後味噌」。大豆を丁寧に蒸しあげ、柔らかくしたうえでじっくり熟成してつくるのが峰村醸造の味噌の特徴です。それによって、旨みの濃い味噌に仕上がるといいます。とくに「復刻仕込」は、1世紀以上にわたり受け継がれてきた、峰村醸造の原点ともいえる逸品です。
味噌と並んで長く愛されている商品が、味噌漬です。胡瓜や大根などを特製の味噌ダレに漬け込んだ甘口仕上げの漬物で、直売店では一番の人気を誇るシリーズです。
調味料、味噌を使ったもつ煮やハンバーグなどの惣菜、お菓子なども販売しています。「えっ、これも発酵食品!?」「こんなアイデアがあったんだ!」という驚きも。
こちらは「味噌バームクーヘン(1個290円、5個セット1,375円」。お菓子商品の中で売り上げ第1位を誇る人気商品です。しっとりとした食感に、ほんのりと味噌の風味がただよう、美味しい味噌スイーツです!ちょっとしたギフトにも最適です。
発酵・醸造の技術と知識を活用した商品として、甘酒も人気です。通常の甘酒のほか、「はちみつ生姜甘酒」など、季節限定の商品もリリースしているのが面白いところ。限定品が出るたびに、毎回買い求める根強いファンもいるのだそうですよ。
甘酒は店内で試飲することもできます。味噌づくりに使われるのと同じ糀を使っているため、通常よりもタンパク質を分解する力が多く、それが旨みにつながっているのだそう。やさしい甘さも特長です。甘味料は一切使わず、甘味となるのは新潟のお米の甘さのみというから驚きです!
たびたび「旨み」というキーワードが登場してきました。豊かな旨みの秘密は、味噌づくりの工程にありました。
峰村醸造の味噌は、直売所のすぐ隣にある工場で生産しています。その中で行われる味噌づくりの工程を、実際に製造にたずさわる蔵人(くらびと)の説明を聞きながら見学できる工場見学を開催しています。
※2022年12月現在、休止中。再開のタイミングは峰村醸造ホームページにてご確認ください。
峰村醸造の味噌は「半煮半蒸(はんにはんむし)」とよばれる製法でつくられています。蒸した大豆と煮た大豆を混ぜることで大豆の旨みを逃さず、飽きがこない程良い旨味を表現した味噌に仕上がるといいます。
大豆を蒸しあげた後は、米麹と混ぜ合わせ、じっくり寝かせて熟成させていきます。また、加熱殺菌を一切していないため、豊かな風味が残り、旨味と風味をうまく兼ね備えた味噌に仕上がるのだそうです。
工場内をあるいてみると、そこかしこから味噌のいい香りがほんのりと漂っています。
こちらは、味噌を糀と混ぜ、熟成工程にうつるところ。ここで、興味深いお話を聞くことができました。峰村醸造は、新潟駅から近いとあって外国からの観光客も数多く訪れるそうです。
「味噌は気温が30度を超える日が2ヶ月以上ないと、そもそも作ることができないんです。外国のお客様の中には、涼しい環境の国にお住まいの方もいます。そうしたお客様の味噌は、弊社が一旦お預かりし、熟成させてからお渡しすることもしていました」と蔵人さん。
案内中のひと言ふた言からも、「味噌づくりをもっと知ってもらいたい」という蔵人さんの情熱を感じます。
工場見学と合わせておすすめなのが、味噌仕込み体験です。工場内で、自分だけの味噌仕込みを体験することができます。
あらかじめ用意された味噌と、糀を自分の手で混ぜ、練り上げていきます。蔵人さんが丁寧に説明をしてくれるので、ご安心を。
思っていたより力が必要で、びっくり!でも、段々と愛着が湧いてくるのが不思議です。
できあがりました!こうして作った味噌を持ち帰り、自宅などで発酵させ、「自分だけの味噌」を仕上げていきます。面白いのは、環境によって、微妙に異なる味に仕上がること。「手前味噌」という言葉がありますが、まさにこのこと!毎日、じっくりと醸されていくのを見るのは楽しいですよ。
味噌づくりの全工程を見学することのできる蔵は、全国的に見ても非常に珍しく、きっと貴重な体験ができるはずです。何より、実際につくられている現場で学ぶことで、味噌や発酵食品のことが好きになります!
現在はコロナ禍の影響で工場見学・体験は休止中ですが、見学が再開されたら、ぜひ参加してみてください。
※撮影時のみマスクを外しています。
※2022年12月現在、工場見学は休止中です。再開時期は峰村醸造ホームページでご確認ください。
※記事内の料金はすべて税込表記です。
INFORMATION
峰村醸造 直売店
所在地 : 新潟市中央区明石2-3-44
アクセス : 【徒歩】「新潟駅」万代口より約20分 / 【車】「新潟駅」万代口より約10分、「新潟空港」より約20分
駐車場 : あり(最大8台)
電話 : 025-250-5280(直売店)
営業時間 : 10時〜17時
定休日 : 年末年始(12月31日~ 1月3日)
URL:https://www.minemurashouten.co.jp/