「重要文化財 旧笹川家住宅」で名家の歴史に思いを馳せる

新潟市南区にある重要文化財、旧笹川家住宅は、安土桃山時代から14代にわたって300年以上にわたり続いた名家です。約6,000坪もの広大な敷地内には、約340坪の邸宅や5棟の土蔵、文庫などが並び、見どころがたくさんあります。今回は第14代にいがた観光親善大使の矢部さんと紹介します。

笹川家は江戸時代に、村上藩の支配下にあった味方組8ヵ村(味方、白根、板井、木場、黒鳥、北場、亀貝、小新)合計約8,000石を束ねる大庄屋を代々務め、年貢のとりまとめ、藩から与えられた警察・裁判権を行使した名家。水害の多かったこの地域での治水、新田開発に貢献してきました。

入り口にあるのは天正年間(1573年から1591年)に建てられたと伝わる茅葺きの表門・巽風門(そんぷうもん)。当時の姿が残されていて、まるで時代劇の世界にタイムスリップしたような気分に。

巽風門をくぐると見えてくるのは、威厳ある佇まいの屋敷。文政2年(1819)の火災で全焼した後、文政9(1826)年に再建。入り口は4つあり、左側の玄関からは藩主、中央の寄付からは主人や代官、右側の土間からは家族や行商人などが出入りしました。庄屋たちが手足を濯いでから寄付(よりつき)にあがった濯場や消火用に積まれた桶、来訪者がたたいて家の人を呼ぶ銅鑼があったりと当時の名残を見ることができます。

屋敷は入り口から奥へ続く構造で部屋の数は20以上。表座敷は広間、三の間、二の間と続いていて、広間は味方組8か村の庄屋たちの会合で使われていました。

広間の4.8メートルの高い天井には大きな梁と桁がキの字に組まれていたり、杉の一枚板を使った板戸など雄大な造りが特徴。

三の間では、2間2尺(4.2メートル)の大床にある襖と床の間の張付壁の模様に注目。「まんじくずれ紋様」と呼ばれ、よく見ると「米」という文字に見えてくるように描かれています。

部屋によって欄間が変わっていたり、鍵隠しには三つ巴、二羽鶴などの金具が使われているなど細部へのこだわりは必見です。

会合や来客が多かった名残は土間や御用帳場からも感じられます。御用帳場にある帳箪笥には帳面や証文などの重要書類が入っていました。紐を通す輪と車輪が付いていて火事の際に持ち出せるようになっています。

囲炉裏の間は表座敷に来客があったときにまかないを作っていました。

屋敷の奥にはさらに部屋が続きます。表座敷の裏の部屋は住居として使用。かつての面影が残る部屋は一部公開されています。囲炉裏のある勝手は床上の部分は仲の間と呼ばれ、最盛期は15人ほどいた使用人の食事を作っていました。当主の居間として使われていた茶の間は当時、女性の立ち入りが禁止。大凧と同じ大きさで、炉障子があるのが特徴です。

屋敷の中を見学したら外を散策。屋敷から見える庭には池や木々があり、天気のいい日は外を歩くことも。新緑や紅葉など季節によって景色が変化。紅葉の名所としても知られています。

屋敷の横には道具や米、家財などを保管していた蔵があり、現在は一部が公開されています。

敷地内には旧味方村名誉村民、曽我量深、平澤興の功績を讃える曽我・平澤記念館があり味方村の資料を展示。企画展も行っているので立ち寄ってみてはいかがでしょうか。

年に1度ライトアップイベント「和のヒカリ」が開催されます。夜になると屋敷内は和傘と光が織りなす空間に変化。

味方中学校の3年生が夏祭りをテーマにプロデュースした展示もあり、普段とは異なる幻想的な空間を楽しめます。この他にもかぐらの舞や新潟市指定無形民俗文化財の角兵衛獅子など伝統芸能の披露の場になることもあるのでイベントに合わせて訪れてもよさそうです。

南区の発展に貢献してきた大庄屋の屋敷「旧笹川家住宅」。屋敷を訪れて当時の雰囲気を体感してみてくださいね。

※営業時間や定休日、価格等は令和5年11月現在のものです。変更となる場合がありますので、詳細は施設へ直接ご確認ください。


INFORMATION

旧笹川家住宅

所在地 : 〒950-1261 新潟県新潟市南区味方216
アクセス : 【車】「新潟駅」より約35分 / 【バス】 「新潟駅」より「W74快大野・白根線潟東営業所行」乗車、「鯵潟陽向台」下車徒歩15分
駐車場 : あり
電話 : 025-372-3006
営業時間 : 9時〜17時(入館は16時10分)
休館日 : 月曜日(休日の場合は翌日)、休日の翌日(土曜日が休日の場合、火曜日)、年末年始(12月28日から翌年1月3日まで)
入館料 : 大人(高校生以上)500円、小・中学生 : 300円、就学前児 : 無料 ※土、日曜日、祝日は中学生以下無料
HP : https://www.city.niigata.lg.jp/minami/shisetsu/yoka/bunka/kyusasagawake.html

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