新潟シティガイドと巡る「予約のいらないまち歩き」

街を歩けば歴史や文化に出会える新潟市。地図を片手に散策するのもいいですが、ガイドと歩けば、もっと深く街の魅力を知ることができます。今回は第15代にいがた観光親善大使の田中さんと新潟シティガイドが開催している「予約のいらないまち歩き」に参加。北前船の寄港地として栄え、みなとまち文化が残る古町エリアや異国の文化との関わりを感じる街並みが特徴の西大畑エリアを巡ります。

新潟シティガイドは、市内の新潟島エリアと沼垂地区などをメインに、みなとまち新潟の魅力を案内する市民団体。みなとまち新潟観光ボランティアガイド養成講座を受講したガイドが所属しているので、詳しく街の歴史やみどころを教えてもらえます。
この日、田中さんが体験するコースは、予約不要なので時間になったら集合場所のNEXT21の1階にいくだけ。500円で1人から参加できます。今回は歴史が好きな新潟シティガイド代表の倉地さんが案内してくれます。

早速NEXT21の最上階にある展望室へ。地上101mから市内を一望できる人気の場所です。まずは街並みを眺めながら、古町の歴史を教えてもらいます。

「古町は海と信濃川に囲まれた新潟島と呼ばれるエリアにあります。1655年、長岡藩により街並みが整備され、古町には奉行所が建てられました。私たちのいる西堀沿いには、約30のお寺が建てられ現在も一直線に並んでいます。」と江戸時代の古地図を持って説明する倉地さん。当時と比べると近代的になりましたが、現在までまちの形は変わっていないそう。

江戸時代、北前船の寄港地として栄え、日本海側有数の物流拠点となった古町エリア。豪商が誕生したり、全国から集まる商人や旅人をもてなす花柳界が発展するなど、みなとまち文化ができました。


NEXT21の前にある西堀通をはじめ、古町には堀という名前の通りが多くあります。

東堀通、新堀通などがありますね。
説明を聞いたらまち歩きに出発。まずはかつて堀だった西堀通を歩きます。昔は縦横に張り巡らされた堀には船が通り、街の発展の礎になっていたそう。現在は道路になっていますが、通りの名前を見れば当時のまちの様子を想像しながら歩くことができます。

一つ目の目的地に到着。江戸時代から続く芸妓文化が残る花街の一角です。江戸時代末期には、新潟古町は江戸、大阪、京都に次ぐ人気の遊びどころでした。所属する芸妓は古町芸妓と呼ばれ、大正、昭和の最盛期には140軒もの置き屋があり300人も芸妓が所属していたそう。

通りや小路が多い古町。花街にも多くの小路があります。待合だった「旧美や古」や置き屋などが並ぶ六軒小路もその一つ。歴史ある建物が残る場所です。歩いていると三味線や踊りの練習をする音が聞こえる時も。通りには置き屋を改装した飲食店もあります。


私は極楽にします。

それでは私は地獄にしますね。
西大畑エリアは、かつて名産の寄居かぶで知られる農村でしたが、明治時代になると市街地化が進み学校などの公共施設、豪商や豪農の別荘などができました。教会や洋館があり、異国との関わりを感じられる街です。
まず訪れたのは地獄極楽小路。左側には老舗料亭、右側にはかつて刑務所があり極楽、地獄と揶揄されていました。倉地さんと田中さんは、どちらが極楽にいくか譲り合う場面も。

刑務所は昭和47年に移転しましたが、レンガ塀が一部保存されているなど当時の面影が残されています。

続いては旧齋藤家別邸へ。通常、コースは外観だけの見学ですが、希望すれば有料で館内に入れます。新潟三大財閥、豪商の齋藤家の別邸で大正7年に建てられた屋敷。数寄屋造りを基調とした建物には、贅を尽くしたつくりが随所にみられ、みなとまちのおもてなし文化が感じられます。

砂丘地形を利用した回遊式庭園は国の名勝に指定されています。1階からは額縁に入った絵画のような景色を、2階からは歴史を感じる建物の装飾と一緒に景色を眺められるなど場所によって異なる景色を眺められるのも魅力の一つ。夏は新緑、秋は紅葉を楽しめますよ。

お次は、歴史が好きな倉地さんが紹介したいという隠れたスポットへ寄り道。新潟大神宮の境内に佇む石碑です。殉節之碑は、明治維新の戊辰戦争の際越後を守っていた会津藩の戦死者を弔うため130年前に作られました。刻まれている題字は会津藩の最後の藩主、松平容保公が書いたもの。朝敵の汚名をそそごうという旧藩士の想いが伝わります。 ガイドによって立ち寄る場所に個性が出るのが魅力の一つ。

明治18年から新潟の街を長年見守るカトリック新潟教会。昭和2年に建てられた聖堂は、2027年に100周年を迎えます。参拝者がいない時は中に入ることができます。


ステンドグラスに佐渡島が描かれてますね。
当時と変わらない聖堂。平成8年に改修した際にイタリアから贈られたステンドグラスは、佐渡の無名殉教者など新潟教区らしい絵柄が特徴。ミサで使われる昭和4年製の空気アクション式パイプオルガンは、日本で現役として使われている最古のものの一つ。どこを見ても教会の歴史を感じられるはずです。


西大畑は坂道が多いですね。

西大畑には坂が多く砂丘だとわかります。どっぺり坂は映画のロケ地としても使用されたんですよ。
新潟砂丘にある西大畑。特徴がわかるどっぺり坂は、かつて坂の上に旧制新潟高校の寮があり学生の間では、坂をくだって街に遊びにいき過ぎると留年するぞといわれた坂。ドイツ語でドッペルン(二重にする=留年する)とかけて名づけられました。階段は及第点より1点足りない59段になっています。

ツアーにかかった時間は約2時間。ガイドと歩くことで存分に新潟の歴史や文化を知ることができました。予約がいらないのも嬉しいですね。この記事で紹介した内容はほんの一部。実際はさらに多くの場所を巡ることができますよ。ガイドと巡るまち歩き、旅先で体験してみてください。
※営業時間や定休日、価格等は令和7年6月現在のものです。変更となる場合がありますので、詳細は店舗へ直接ご確認ください。
INFORMATION
新潟シティガイド
予約のいらないまち歩き
開催日 : | 土曜日、日曜日、祝日※年末年始は休み |
受付時間 : | ①10時、②13時30分 |
集合場所 : | NEXT21 1階アトリウム 〒951-8061 新潟県新潟市中央区西堀通六番町866番地 |
所要時間 : | 2時間※旧齋藤家別邸に入館する場合は30分延長 |
料金 : | 500円、旧齋藤家別邸 入館料 300円 |
定員 : | 8名 |
電話 : | 090-1807-3013 |
受付時間 : | 9時~18時(お問い合わせ・受付) |
HP : | https://niigata-cityguide.com/ |