歴史ある街並みに癒される 新潟市「西大畑」を歩くレトロ旅

新潟市中央区の西大畑。かつては畑が多い町でしたが、明治時代になると市街地化が進み、学校、警察、病院、県庁など近代都市の施設をはじめ、文化施設、近隣の豪農や新潟の豊かな商屋の別荘が作られました。現在も大正から昭和初期に建てられた建物が点在。異国情緒漂う街並みは時代を超えて市民に愛されています。見学できる施設も多いので街歩きには最適。今回は第15代にいがた観光親善大使の田中さんと歴史を感じる旅へ案内します。

昭和8年に日本銀行新潟支店長の「役宅」として建てられた砂丘館は、近代和風住宅と日本庭園が建設当初の姿で残る建物。平成11年まで使われていて8代から37代まで30人の支店長が居住しました。現在は入館無料で見学することができます。

館内には和室と洋室があり、どの部屋からも庭を眺められる作りになっています。

館内のみどころの一つが敷地奥にある蔵。新潟の町が災害に襲われた場合は役宅で支店業務が代行できるように配慮され、非常時には金庫として使用するために作られました。現在はギャラリーに改装され、イベントやコンサートなどに使われています。

洋風の応接室では庭園の景色を眺めながら喫茶メニューを楽しめます。当時と変わらない装飾にも注目です。

INFORMATION

砂丘館

所在地 : 新潟県新潟市中央区西大畑町5218-1
アクセス : 【バス】新潟駅から浜浦町線乗車、「西大畑坂上」下車徒歩約1分
電話 : 025-222-2676
営業時間 : 9時~21時(冬季12〜2月は19時まで)
定休日 : 月曜日(祝・休日の場合は翌日)、祝・休日の翌日(その日が土・日の場合は直近の火曜日)
HP : https://www.sakyukan.jp

レンガ調の階段が特徴のどっぺり坂。西大畑は砂丘地帯のため坂道が多く、どっぺり坂もその一つ。

どっぺり坂の名前には興味深い由来が隠されています。かつて坂の上には旧制新潟高校(現在の新潟大学)の学生寮があり、その学生が繁華街に通う近道として利用していました。「あまり坂を往来し、遊びの度がすぎると、落第するぞ」という戒めの意味から、ドイツ語のドッペルン(二重にする=留年する)とかけて名づけられたそう。

階段の数は及第点の60点に1段足りない59段で作られています。近年では映画のロケ地としても使用されました。

INFORMATION

どっぺり坂

所在地 : 新潟県新潟市中央区西大畑町5220-18
アクセス : 【バス】新潟駅から浜浦町線乗車、「西大畑」下車徒歩約1分

新潟市江南区にある「豪農の館 北方文化博物館」の分館「北方文化博物館 新潟分館」。敷地内には明治時代に建てられた日本家屋と洋館があり一部を見学することができます。

屋敷の歴史は古く、長岡の油田採掘で知られる清水常作が明治28年に建てた別宅を、新潟の豪農伊藤家が取得し、大正10年に四男九郎太が分家、南浜伊藤家として居住しました。現在も南浜伊藤家が暮らしており、一部の部屋を公開しています。

明治期の書院造の日本家屋からは、枯山水を配した回遊式日本庭園を眺めることができます。庭園は自然の石を組み合わせて配置し水を使わずに自然風景を表現。天気がいい日は外に出ることもできますよ。

敷地内に併設する洋館には、新潟出身の文人會津八一が終の棲家として晩年の10年間暮らしていました。展示室には八一の歌書や良寬の書などが展示されている他、八一が当時使用していた机なども見ることができます。庭にある八一の歌碑にも注目です。

分家当初から使用していた部屋の中には、日本画家小山雪亭の色鮮やかな欄間絵や天袋絵などを見ることができる部屋などもあり、2024年からは公開される場所が増えました。詳しく知りたい人は受付スタッフに聞いてみてくださいね。

INFORMATION

北方文化博物館 新潟分館

所在地 : 新潟県新潟市中央区南浜通2番町562
アクセス : 【バス】新潟駅から浜浦町線乗車、「西大畑」下車徒歩約4分
電話 : 025-222-2262
営業時間 : 4月〜11月 9時30分〜17時、12月〜3月 9時30分〜16時30分
定休日 : 月曜日、年末、1月、2月
HP : http://hoppou-bunka.com/niigatabranch/

2021年で築100年を迎えた洋館付き日本邸宅が特徴の旧新潟県副知事公舎。現在は新潟の豊かな食材を贅沢に使用した老舗ホテル伝統のフレンチと、ゲストの目の前で焼き上げるダイナミックな鉄板焼が人気のレストランになっています。

建築当時の趣を再現したレトロモダンな店内には、日本庭園を臨む鉄板カウンター席のほか、特別感あふれる個室も完備。指定牧場の厳選した和牛や新鮮な魚介類を使った料理を堪能できます。

食事の後は当時と変わらない洋館でお茶を楽しめるのが魅力の一つ。西大畑で散歩をする際の食事にぴったりのレストランです。

INFORMATION

FRENCH TEPPAN 静香庵 別邸 涵養荘

所在地 : 新潟県新潟市中央区営所通二番町692-6
アクセス : 【バス】新潟駅からC21浜浦町線乗車、「西大畑」下車徒歩約1分
電話 : 025-211-7703
営業時間 : 火~日、祝日: 11時30分~14時30分 (料理 ドリンクL.O. 14時) 17時30分~22時 (料理 ドリンクL.O. 21時)
定休日 : 月曜日
HP : https://seikoanbetteikanyoso.owst.jp

西大畑を語る上で外せないのがカトリック新潟教会。 明治18年、現在の場所に最初の聖堂が建立されました。「異人池」ができたのも同じ頃。ある日、神父が井戸を掘ったところ水が噴き出て、後に「異人池」と呼ばれる池ができ、池周辺は市民の憩いの場所になったと言われています。池の姿はもう見ることはできませんが周辺の建物の名前に「異人池」とつけられるなど、名残を感じることができるはず。現在の聖堂は昭和2年に建てられ、2027年に100周年を迎えます。

祈りの場として大切に守られてきた聖堂は、当時と変わらない姿で残っています。

聖堂を囲むように取り付けられたステンドグラスはフィレンツェ製で、新潟地震で沈下した聖堂を平成8年に修復した際、フランシスコ会から寄贈。佐渡の無名殉教者など、新潟教区らしい絵柄が特徴です。

2階にあるのは、空気アクション式パイプオルガン。日本で現役として使われている最古のものの一つだそう。昭和4年の設置以来ミサなどの場面で使用されています。

神父おすすめの場所は教会の裏から見る景色。100年前と変わらない教会の姿と変わりゆく街並みの姿が一度に楽しめる場所になっています。前方に見える建物と教会の屋根の形が似ているのがおもしろいそう。

長年街を見守り続けてきたカトリック新潟教会。ミサの時間以外は開放されているので立ち寄ってみてはいかがでしょうか?

INFORMATION

カトリック新潟教会

所在地 : 新潟市中央区東大畑通1番町656
アクセス : 【バス】新潟駅から新潟駅からC21浜浦町線乗車、「西大畑」下車徒歩約4分
電話 : 025-222-5024
開館時間 : 9:00~18:00(冬季には閉館が早る場合あり)
休館日 : 年中無休
HP : http://cathedral-niigata.jp/
※教会は神聖な祈りの場です。聖堂や敷地内の見学は祈りの妨げにならないようご注意ください。
※ミサなど行事がおこなわれるため一時的に入館できない場合があります。

西大畑はご紹介した他にもレトロな建物がたくさん。砂丘館からは徒歩10分ほどで海に出られるため、天気がいい日は夕日や佐渡島を眺めることもできます。新潟の歴史を感じながらゆっくりと街歩きを楽しんでみてはいかがでしょうか?

※営業時間や定休日、価格等は令和6年11月現在のものです。変更となる場合がありますので、詳細は店舗へ直接ご確認ください。

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